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2023.06.01
技能実習制度廃止を有識者会議が提言
外国人労働者の受入れの在り方を検討する政府の有識者会議が、技能実習制度を廃止し、これに代えて新制度を創設する提言を行いました。
技能実習制度は1993年に「途上国への技術移転という国際貢献」の目的で始まりました。しかし、実態は労働力確保の手段として、劣悪な労働条件下で外国人労働者を働かせるなどの人権侵害が多発。2022年7月には当時の古川禎久法相が制度の抜本的な見直しを表明していました。
有識者会議の中間報告たたき台では、技能実習制度に代えて、新たに「人材確保と人材育成を目的」とした制度創設の検討を求めています。この新制度では、残業代不払いや長時間労働などの劣悪な労働条件や人権侵害の温床になっているとされる「転籍」制限を一定の範囲内で緩和することや、外国人労働者から多額の手数料を徴収する悪質なブローカーや送り出し機関に対する対策、不適切な監理団体や登録支援機関の排除などの検討も挙げています。
また、新制度は、2019年に設けられた人手不足が深刻な特定の産業分野で外国人労働者を受け入れる特定技能制度と連動させるため、対象職種や分野を一致させ、特定技能制度へ移行しやすくすることで、中長期的に日本で活躍できるようにする方向性が示されました。
2022年12月時点で、32万5千人ほどの技能実習生が日本で働いており、実習生を貴重な労働力としている中小企業も数多く存在しています。国際的な人材獲得競争が激化するなか、日本が外国人人材に「選ばれる国」になることが必要です。しかしながら、今回示された新制度も、基本的な受け入れの枠組みは技能実習制度と変わらず、抜本的な見直しといえるか疑問視する向きもあります。
いずれにしても、一層の労働力不足が懸念される日本において、意欲のある外国人人材が日本で働くことに魅力を感じ、安心して働けるよう、国を挙げて取り組んでいくことが求められているといえるでしょう。
(以上)