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2023.05.01
健康保険証は廃止へ ~事実上のカード取得義務化~
政府は、マイナンバーカードの健康保険証との一体化などを盛り込んだマイナンバー法等関連改正法案を閣議決定しました。昨年6月の「骨太の方針」において、すでに現行の健康保険証の原則廃止を謳っており、改正法案が今国会で成立すれば、マィナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マィナ保険証」への切替えが大きく進むことになりそうです。
マィナ保険証の導入は、社会のデジタル化推進の一環としてマイナンバーカードの普及と、医療・看護分野のデジタル化を後押しし、医療関係者や患者の利便性を高めるのが目的とされています。マイナ保険証は、医療機関や薬局に設置された専用のカードリーダーで情報を読み取り、本人確認をします。患者が同意すれば、過去の健診の情報や処方された薬などの情報を医師らが確認することができ、初めて受診する医療機関でも診断・治療に役立つほか、調剤の重複を避けられるといったさまざまな利点があります。
改正法案では、マイナンバーカードの取得が困難な高齢者などには、保険証の情報が記載された「資格確認書」(有効期間1年)が無料で発行されるほか、従来の保険証も一年間、有効とされます。ただし、資格確認書や従来の保険証で受診した場合、マイナ保険証よりも窓口負担が割高になることが考えられます。現在でも窓口負担が3割の場合、従来の保険証を使った場合の初診の追加負担は、マイナ保険証より12円高い18円となり、再診では新たに6円が加算されています。
マイナンバーカードの取得は個人の判断とされていますが、 健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化することは、事実上、カード取得の義務化を意味します。法案が成立すれば、2024年秋にはマイナ保険証に一本化されますが、移行期にはマイナ保険証、従来の保険証、そして資格確認書の3つが混在することになり、さらに、同一診療であっても窓口負担額が異なることもあり得ることから、医療現場での混乱が懸念されています。
(以上)