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2021.06.01

「働き方改革の実務」(同一労働同一賃金)(派遣労働者①)

下関労務管理事務所では定期的に労務・人事に関する話題を紹介しています。

今回のテーマは『派遣労働者に対する同一労働同一賃金』の初回です。

このテーマに関するご相談がありましたら、メニューもしくは最下部のお問い合わせリンクからご連絡ください。それではニュースです。

 

派遣労働における労働関係とは、派遣労働者は派遣元事業主(派遣会社)に雇用され、派遣先企業の指揮命令を受けて働きます。つまり、雇用関係と指揮命令関係とが分離していることが最も大きな特性と言えます。また、派遣労働は、臨時的・一時的な働き方ですから、派遣先企業が派遣を受け入れる場合、原則として期間制限があることも派遣労働の特性といえるでしょう。

 

では、こうした派遣労働者の同一労働同一賃金をどのように考えればよいかですが、その前にこれまでの派遣労働者の処遇改善に向けた法改正の経緯について確認しておきます。

 

まず、平成27年の改正労働者派遣法では、次のような派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者との均衡待遇の推進が図られました。

派遣会社に対しては、雇用する派遣労働者から求めがあったときは、均衡を考慮した待遇確保のために配慮した内容について、当該派遣労働者に説明することが義務化されました。

派遣先に対しては、派遣先の労働者に関する賃金等の派遣会社への情報提供の努力義務が配慮義務に改正され、また、派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合は、派遣労働者にも実施することや、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)について、派遣労働者に対しても利用の機会を与えるよう配慮が必要となりました。

 

さらに、平成30年に働き方改革関連法として改正された労働者派遣法では、パート・有期労働法と同じように、通常の労働者(派遣先に雇用される通常の労働者、以下同じ)との不合理な待遇の相違を設けることは禁止され(派遣法30条の3第1項)、また、職務内容や職務の内容・配置の変更範囲が通常の労働者と同じ場合には、その派遣労働者について、「その通常の労働者の待遇と比べて不利なものとしてはならない」という均等待遇規定(派遣法30条の3第2項)が新設されました。

 

ここでの派遣労働者の「均衡待遇」「均等待遇」の考え方、不合理か否かを判断する際の考慮要素(①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲、③その他の事情)、判断の方法などは、パート・有期労働法の規定と”同じ”になります。

 

上述の均等待遇規定である「その通常の労働者の待遇と比べて不利なものとしてはならない」との規定は、パート・有期労働法9条の均等待遇規定である「差別的取扱いをしてはならない」とは表現が異なっていますが、実質的には同義になります。派遣会社にあっては、派遣先に雇用される通常の労働者の待遇を決定する立場にないため、「差別的取扱い」という文言を用いなかったとされています。

まず今回は、ここまでとします。次回以降、派遣労働者の同一労働・同一賃金についての解説の続きをお届けします。

(以上)

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