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2024.11.01
若手人材の獲得競争が激化
~最賃、初任給上げ、奨学金返還も~
10月1日から全国の地域別最低賃金が順次発効しています。今年度の全国加重平均額は1055円で、引上げ額は51円と過去最高額に達しましたが、その背景には隣県を意識した人材獲得競争があります。一方、若手人材の確保を目的とした初任給引き上げも相次いでいます。
産労総合研究所の調査では2024年4月入社者の初任給を「引き上げた」企業は、昨年比7.5ポイント増の75.6%。27年ぶりに7割を超えています。2024年度決定初任給額大学卒(一律)が22万5457円、高校卒(一律)が18万8168円。対前年度増加率は全学歴で3%超と32年ぶりの水準になっています。例えばメガバンクの初任給はこれまで大卒で20万5000円の横並びが続きましたが、2023年に三井住友銀行が25万5000円に引き上げ、今年4月にみずほ銀行が26万円、三菱UFJ銀行が25万5000円に引き上げました。
全国に支店を持つメガバンクの引き上げに危機感を持った地方銀行も追随し、京都銀行が今年26万円に引き上げたほか、横浜銀行、福岡銀行や西日本シティ銀行など各行は25年度から26万円に引き上げる予定です。地銀の初任給引き上げはいずれ地場の企業にも波及すると思われます。
また、初任給の引き上げだけではなく、大学などの奨学金を肩代わりする企業も増加しています。日本学生支援機構(JASSO)は2021年4月から企業の「奨学金返還支援(代理返還)制度」を実施しています。
この制度を利用する企業は今年5月末までに2000社を超え、前年同月比の2倍以上に増加しています。この制度は企業が直接機構に送金すれば、返還額は社会保険料や所得税の対象ではなくなるというメリットもあるほか、返還額は法人税控除の適用を受けられる場合もあります。今後、賃金だけではなく人材確保のためのさまざまな施策が登場してくる可能性があります。
(以上)