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2022.10.01
外国人技能実習制度の見直し『理念と実態の整合を目指せ』
「外国人技能実習制度」の抜本的な見直しに向けて、政府の議論が始まります。有識者会議による制度改正の議論を進めていくことを、古川法相(当時)が表明しました。人権侵害を起こさない、技能実習生と日本側双方にプラスとなる仕組みを目指すとしています。
そもそも「外国人技能実習制度」は、開発途上地域の外国人が日本で働きながら技能を学ぶ制度で、1993年に制度化されました。その目的・趣旨は、国際協力として、開発途上地域への日本の技能・技術、知識等の移転を通じて経済発展に資するよう、その担い手となる「人づくり」に寄与するというものです。現在、技能実習期問は最長5年で、2021年末時点で約27万6000人の技能実習生が日本で働いています。
しかし、実習先における技能実習生への暴力といった人権侵害や、劣悪な労働条件・環境下で働かせられている実態が、長らく問題視され続けてきています。技能実習生の中には多額の借金をして来日する人も多く、原則として職場を移る自由がない中で、実習先で不当な扱いを受けても相談できずに我慢を強いられたり、そうした過酷な状況に耐えきれずに失踪したりするケースも少なくありません。2017年11月に外国人技能実習適正化法が施行され、監理団体や実習先に対する監督強化が図られましたが、実効性が上がっていないのが現状です。
技能実習法には「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と基本理念が示されています。しかし、現実には日本の人手不足を補う労働力として扱われており、国際協力の趣旨・目的とはかけ離れた運用実態があります。日本においては労働力人口の減少が進む中で、外国人人材は社会を支える一員として欠くことのできない存在になっています。
今後は是非、外国人の受入れ政策について、外国人技能実習制度のあり方も含めて、日本の将来を見据えた真摯な議論により、理念と実態が整合性のとれた制度になることを願ってやみません。
(以上)