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2024.09.01
高齢者雇用にどう向き合うか
=戦力化と生産性向上を目指して=
人手不足解消の方策の一つとして高齢者雇用が注目されています。企業の中には、シニアの中途人材を積極的に採用し、戦力化しているところもあります。今回は定年退職した他社の社員を募集・採用し、 積極的に活用しているパソナグループの「エルダーシャイン」制度を紹介します。
パソナグループは2019年4月から他社で定年退職した人を社員として採用する「エルダーシャイン」制度を導入しています。最初の2019年の1月の募集では「地方創生」「専門エキスパー卜」「ベンチャー」の3つのコースで採用。地方創生コースはパソナグループが取り組む地方創生事業の地域活性コンサルタントやサービスクルーとして、イベント企画や施設運営業務に従事します。ベンチャーコースは独立起業に向けた計画の策定や事業・収支計画等について、専門コンサルタントから支援を受けながら起業を目指すコース。専門エキスパー卜は営業、財務、人事、経営企画、知財などこれまで培った専門スキルを武器にパソナグループで活躍してもらいます。
当初、この3つのコースで募集しましたが、途中から、特定の分野に限らずチャレンジしたい人を対象に「総合コース」を設けています。その理由は「書類をじっくり読むと、海外の現地法人で総合的なマネジメントの経験を持つ人などすばらしい経歴と経験を持つ人が多く、自分の経験を新たな分野で試したいと意欲のある人も多かった」(同社担当者)と言います。総合職コースは現在も「エルダー総合職」として採用を続けています。
入社したシニア社員は大企業出身者も多く、子会社の社長経験者や元自衛隊幹部など多彩です。前職の会社での仕事をやり切ったので別の仕事にチャレンジしたいという人や出身企業の再雇用とは違う別の道に進みたかったという人もいます。入社研修では新人と同じようにビジネスマナーなどの基礎的な研修も行います。年齢やこれまでの役職などにこだわることなく第一線で活躍するためのマインドセットの教育にも力を入れています。
入社した人の中には、パソナが運営する道の駅「丹後王国」で生産されたクラフトビールを元ビール会社の営業職だった人が首都圏での販路開拓のミッションを担当し、販売網を広げるなど実績を上げたそうです。あるいは元自動車販売会社の役員は、元の会社に営業に行くと、かつての部下も丁寧な姿勢で応対し、帯同したパソナの若い社員も「自分たちもがんばらなければ」と思うなど良い刺激を与えているそうです。
他社で定年退職した人を雇うというある意味で大胆な試みですが、出身企業以外で働きたいという能力の高い人が多いこと、また、長年同じ企業で仕事をしてきた人が違う企業で働くことで、同年齢の社員や若手にも良い刺激を与えるなど社内の活性化にもつながっているそうです。もちろんパソナグループ社員の再雇用制度もあります。他社のシニア世代を採用することで社業の発展につながる可能性もあります。
(以上)