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判例

2025.05.01

経歴詐称で中途採用の内定取消を是認された裁判例

本件は、コンサルティング業務を主とする会社から採用内定を受けていたXが内定を取り消されたことに対し内定取り消しは無効であると主張。雇用契約上の権利を有する地位の確認と未払い賃金等の支払いを求めて提訴した事件です。東京地裁は経歴詐称を理由とする内定取り消しは有効と判断し、その請求を棄却しました。【A社事件 東京地方裁判所(令6.7.18判決)】

 

 

 

近年、人材確保のための中途採用が増加傾向にあります。本件はコンサルティング業務等を主たる事業とする会社から採用内定を受けていた者が、その後の経歴調査により虚偽の申告が判明したなどとして内定を取り消され、内定取り消しが無効であると主張。雇用契約上の地位確認と未払い賃金などの支払いを求めた事案です。

 

会社と内定者の雇用契約は、経歴調査により、履歴書等の書類に虚偽の記載をし、真実を秘匿して経歴を詐称したことが判明した場合には、これを原因として会社には内定者の内定を取り消すことができる解約権が留保されています。ただし、解約権の行使は採用内定当時知ることができず、また知ることができないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られます(大日本印刷事件最判S54.7.20)。

 

本件内定者は履歴書で一貫して個人事業主として稼働していたこと、職務経歴書でも個人事業主を前提に空白期間なく稼働していたことを申告。しかし、経歴調査の結果、内定者はこの間に数社との雇用関係にあったこと、経歴に空白期間があったことが判明。また、内定者はある会社での雇止めの理由としてコミュニケーション不足が主張されていたこと、また、別会社でも内定者が同社の業務命令に従わず個別の注意等による反省も見られないなど通常の業務遂行が困難なためとの解雇理由により、試用期間中に普通解雇されたことを認定しています。判決は、使用者が職歴を申告させる理由は、職歴に基づいてその労働者の職務能力や従業員としての適格性の有無を的確に判断するためであるとし、虚偽の申告をして秘匿した事項は「本件会社にとって内定者の採否の判断において従業員としての適格性に関わる重要な事項であった」と指摘します。

 

その上で、内定者が履歴書および職務経歴書に真実と異なる記載をしたことは、採用内定当時は知ることができなかった事実であるとしています。その上で「会社が虚偽の申告を行った動機や秘匿した事項、秘匿の方法や態様などを考慮すれば、本件内定者が円滑な相互信頼関係を維持できる性格を欠き、企業内に留め置くことのできないほどの不正義性が認められるのであるから、本件内定取り消しは、客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができる」と述べています。

(以上)

 

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