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2025.02.01

介護を理由に残業を免除したら、その間は残業を打診できない?

Q.突然の大型の受注が発生し、従業員に残業を命じることになりました。ところが担当部門のある従業員から「介護が必要な家族がいるため、残業を免除してもらいたい」と言われました。会社として請求を認めると、この間はその従業員に一切残業させることはできないのでしようか。

 

A.育児介護を理由とした所定外労働の制限の請求手続き等は、育児介護休業規程等に記載されるべきものとなっています(両立指針)。

 

まず、育介法の所定外労働の制限の要件を整理しますと要介護状態にある対象家族を介護する場合に対象になります。対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに父母および子に準ずる者(祖父母、兄弟姉妹および孫)です。要介護状態は、介護保険制度の要介護状態とイコールではありません。

また、いわゆる残業の免除を請求する際は、開始予定日の1カ月前までにしなければならないとしています。故に通達(平28.8.2雇児発0802第3号)で、制限開始予定日の1カ月前の日よりも後に行われる請求は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないとしていますが、各事業所において、請求を認める制度を設けることは可能という位置付けになっています。厚生労働省が示す規定例では、原則として、制限開始予定日の1カ月前までに、請求書を提出するよう求めています。例外的に、提出が遅れたような場合でも請求を認めることがあるとすることは、法を上回り有効です。

 

従業員の請求が認められると、所定労働時間を超えた時間については、事業主は労働を命じることはできません。なお、残業免除の請求を拒否できる場合として、「事業の正常な運営を妨げる場合」があり、「作業の繁閑」も考慮して判断するとしています。しかし、単に、繁忙期等で残業が必要との理由だけでは残業免除の請求を拒否できないとするのが行政の見解です。

 

所定外労働の制限を請求する際、育介法では、1カ月以上1年未満の期間を対象として請求するよう規定していて、比較的長期に及ぶ可能性もあります。ただこの間、一時的に介護をする必要がなくなる期間が生じることもあり得ます。

そこで、厚生労働省は、労働者の真の希望に基づいて残業を行わせることは差し支えないという解釈を示しています(平30.7.30雇均職発0730第1号)。ただし、頻繁に残業を行わせることは望ましくないともしています。いずれにしても、本人の意向を確認することが一切禁じられるものではないでしょう。

 

令和7年4月からは、「介護両立支援制度等」の個別の周知や意向確認の措置が義務付けられます。規定および制度の周知等についてあらためて確認してみてください。

(以上)

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