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2026.01.01

「労災保険制度研究会中間報告書」を公表
~労災保険法の改正動向に注目~

厚生労働省が7月30日に発表した「労災保険制度の在り方に関する研究会中間報告書」に基づいて厚労省の労働政策審議会で労災保険法の改正が議論されています。

 

労災保険制度は、労働基準法第8章「災害補償」の規定を担保するため、労働基準法と同時(昭和22年9月1日)に施行され、以後78年を経過しています。その後、労災保険制度は、単に労働基準法の規定を担保するだけにとどまらず、長期傷病者補償の創設、特別加入制度の創設、通勤災害補償制度の創設、特別支給金の創設、労働福祉事業の創設等、労働基準法の内容を大きく上回る形で適用範囲、給付の充実等が行われてきました。

 

一方、各時点での状況を踏まえて必要な改正が行われたものの、制度全体の検証は、その機会を得ないまま今日に至っています。その上で研究会では適用、給付、徴収の各分野ごとに改めて検証し、2024年12月から25年8月まで8回の議論を踏まえて中間報告としてまとめたものです。

 

報告書では、適用関係について小規模な農林水産業が暫定任意適用となっていることについて、重大な事故の発生を踏まえて、事業者の把握、事務負担への配慮をしつつ、これを強制適用とすることで委員の意見の一致をみました。給付関係では、遺族補償給付については妻と夫で差があることについて解消すべきとの意見の一致をみました。

 

高齢者、寡婦への特別加算については、制度創設時との環境の変化を踏まえて更に検討が必要であること、徴収関係については、災害の発生状況に合わせて保険料率を増減させるメリット制について、労災隠しの要因になるとの問題を認識しつつも存続が適当との判断に至りました。この報告書を踏まえ、公労使による労働政策審議会の議論を経た上で25年末には報告書が建議され、26年に改正法案が国会に提出される予定です。労災保険制度の大きな改正であり、その動向が注目されます。

(以上)

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