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2024.12.01
「高齢者雇用」その戦力化と生産性向上の取り組み紹介
人手不足解消の方策の1つとして高齢者雇用が注目されています。企業の中には、65歳以上でも年齢の上限なしに働ける制度を導入しているところもあります。今回は正社員の定年を60歳から65歳に延長するとともに、パート社員を含む全従業員の雇用年齢の上限を廃止した消費財メーカーの事例を紹介します。
消費財メー力ーのA社は65歳で雇用契約が終了するこれまでの制度を改め、65歳以上でも年齢の上限なしに働ける「アクティブシニア社員」制度を設けています。同社には工場や配送部門で多くのパート社員が働いており、また正社員は60歳定年後に再雇用社員として65歳まで雇用する制度がありました。
制度改正にあたり従業員アンケート調査を実施し、その結果、65歳以降は年齢上限なしに週4日とか1日5時間など、勤務日数や時間について会社が本人の希望を聞いて柔軟に動くことができる「アクティブシニア社員」制度を設けたものです。契約社員やパート社員は65歳契約満了の雇用でしたが、65歳以降はアクティブシニアとして働くことができます。
65歳以降の雇用については健康を第一の条件とし、毎年1回、健康診断の結果や体調を見て会社が判断しています。これまで希望した人のほぼ全員が働き、70歳を超えて働いている人も多くいます。中には部長、課長、係長経験者もいますし、ほとんどがフルタイムで働いています。その後、正社員の定年を65歳に延長しましたが、アクティブシニア社員を入れたことで実際に元気で働けることを確認し、65歳までしつかり働いてもらおうというのが定年延長を実施した理由です。
70歳までの就業機会確保を努力義務とする改正高年齢者雇用安定法への対応については、65歳定年以降は70歳までの「嘱託社員」制度を導入。嘱託社員は原則フルタイム勤務とし、フルタイムで働けない、短時間・隔日勤務など柔軟な働き方をしたい人は「アクティブシニア社員」を選択することもできます。また、70歳で嘱託社員を終了した人でも、その後も働きたい場合はアクティブシニア社員として働くことができます。
「嘱託社員」と「アクティブシニア社員」の処遇の違いについては、正社員から嘱託社員になると、給与は数割程度下がりますが、嘱託社員とアクティブシニア社員の給与は変わりません。ただし勤務日数が異なることから月給制か時給制かの違いはあります。
65歳定年制や70歳までの雇用に二の足を踏む企業も少なくありません。そうした企業に対して同社の人事担当者は
「今の時代に『高齢者』とか『高年齢者』というくくりはやめたほうがよいと思います。それがあるために違う見方をしてしまう。会社としてはその人に合わせて働いてもらい、その人に見合った賃金を払う。何より雇用を継続することに意味があり、若い世代も働けるうちはいつまでも働きたいと考えていますし、そうすることで会社と社員の信頼関係にもつながっていくと考えています」
とアドバイスされています。貴社ではいかがでしょうか?
(以上)